KYOSERA 230AF
KYOSERA LENS 35-70mm/f3.3-4.5

僕が初めて所有した一眼レフカメラ。あまり出来の良い子ではなかったので苦労が多かったけど、その分たくさん勉強させてくれたカメラ。

無知故の選択

僕が初めて自分で所有した一眼レフカメラであり、唯一所有したAFカメラであり、唯一所有したズームレンズでもある思い出の機体。

購入当時、カメラやレンズに関する知識は非常に乏しく、ずっと後に所有する事になったカールツァイスレンズがコンバーターを介して装着できる事など全く知らず、それ以前に、コンタックスをペンタックスのコピーブランドか何かだと思っていたりした頃の事。
知識がないのでこだわりもなく、とにかくAF機が欲しいとの一念のみだった。

当時、既に名を馳せていたミノルタのαシリーズは、第二世代のα7700が登場しており、僕はその未来的デザインと、当時で言うハイテク満載の機能に魅了されてはいたが、予算的に全く折り合わず、α7000のボロボロの中古しか選択肢がないように思えたその時、隣に並ぶ質流れの新古品の京セラ230AFを発見。
知識がない僕は、レンズラインナップの重要性など知る由もなく、ボロボロよりも新品の方がイイという理由のみで即購入。
以後5年程使用し、不意に電源が入らなくなって昇天するまで、付属の標準ズームレンズと共に使い続けた。

一眼レフさえ使えば被写界深度の浅い写真が撮れると思っていたあの頃

このカメラは第一世代AFの時代のものなので、AF合焦速度は非常に遅く、またその合焦の精度も低かった。
MFユーザーの友人と一緒に撮りに行くと、ピント合わせは明らかにMFの方が速く、仕上がった作品のピント精度も友人の作品の方が高かったという苦い思い出もある。
また、付属のレンズの作画能力も、35-70mmという中途半端な画角によって特徴ある作品が撮りにくく、さらに解放絞りが3.3-4.5という暗いレンズのために、より無個性な作画を強いられもした。
とは言え、当時は何故パッとしない写真しか撮れないのか、知識がなかったのでわからなかったのだが…。

不満があったが故にたくさんの知識を学べた

後々、カメラやレンズの知識を少しは持つようになり、何故コンパクトカメラで撮ったような写真が多いのかもわかるようになって、特にレンズへの不満が高まるようになっていった。

もっと広い広角で遠近感が誇張された写真を撮りたい、もっと明るい中望遠で被写界深度の浅い写真を撮りたい、そんな想いが強くなったのだ。
そして、それらの想いが叶えられない現状が嫌だった。
そしてボディのAF駆動スピードの遅さ、合焦の遅さ、合焦精度の低さも相まって、暫く写真を撮ることさえやめてしまう事になる。
それ程にストレスの溜まるボディとレンズだった。

再評価?

現在、この京セラ230AFが、アンダーグラウンドな世界の、いわゆるB級品好きマニアの間で再評価されている事を知った。
中古価格が非常に安価で、それでいてツァイスの香り漂う作画をするレンズ、コンバーターを介す事でツァイスをAFで使う事も可能なボディ、そんな事からの再評価らしい。

以前の所有者であった僕的には、再評価される嬉しさは少しはあるのだが、「ツァイス風のレンズ」という評価は、実際に両者を使用した経験上から言うと事実と反するのでは? と思ってしまう。

話しが逸れてしまったが、とにかく、良くも悪くも色々と勉強させられたカメラだった。

2002年頃著