Canon EOS 5D Mark II
Nikon D3以降の高感度ノイズ耐性能の流れに憧れを感じ、また3年使い続けてきた5Dへの信頼を引き継いでいるという想いから、発表前から物欲と使用欲を駆り立てられまくった5D後継機。
職場での使用で度々撮影のダブルブッキングがあったり、35mm判フルサイズ撮像素子が生み出す動画への期待、そして微妙に暗いシーンでの撮影を余儀なくされる結婚式の撮影依頼など、僕の堅いサイフの紐を緩ませる言い訳が重なった事で購入に至る。
名機の後継として
発売後3年もの間後継機を出さず、それでも売れ、それでも評価が高く、それでも最新機種との画質比較でひけをとらなかった名機EOS 5D。
その後継機として、5D発売後2年頃から噂が飛び交っていた。
特に、発売後2年半であった2008年春頃は、信憑性が高く、多くの人が口を揃えて発表されると盛り上がり、発表されずにゴールデンウィークに突入してしまった際のCanonへの悲痛な訴えや罵倒は記憶に新しい。
その間に、高感度ノイズ耐性のパラダイムシフトを起こしたNikon D3、D700、フルサイズ参入3番手となるSONYのα900、一眼レフでの動画撮影を可能にしたD90などの革新が続いた。
正直、D90の前に発表されればもっと大きく話題になっただろうが、それでも名機の後継機として多くの新機能と共に発表される事となった。
進歩した高感度ノイズ耐性
5Dの時点でも高感度ノイズ耐性は優れていたが、D3以降のトレンド(最高ISO25600)にキッチリ合わせてきた。
さらに、5D同等の1200万画素クラスのD3やD700と違い、2000万画素超クラスで。
画素数が増える程に厳しくなるのが高感度ノイズ耐性なので、これは評価すべき事だろう。
実際にISO12800以上で撮った事は今のところないが、結婚式での撮影ではISO2000を常用し、仕上がりに殆ど不満がなかった事(5DではISO1600は色々と仕上がりを諦めながらの使用だった)から、ISO3200、もしくはISO6400を常用域とするCanonの発言は信用に値する。
レンズキットとして同時に入手した24-105mm IS USMとのコンビで、薄暗い環境での撮影に腰が引ける事はなくなった。
革新的な動画撮影機能
まだ試用段階ではあるが、動画機能も注目に値する。
100万円の民生用ビデオカメラ最高機種はもちろん、ウン千万円の業務用ビデオカメラでさえ半分以下の撮像素子サイズとする35mm判フルサイズ撮像素子から吐き出される動画は、豊富な交換レンズ群と併せて間違いなく映像業界に新たな潮流を作るであろうものだからだ。
セミプロ級のアマチュアショートムービー作家など、これまで撮像が小さいばかりに撮ることができなかった被写界深度の浅い映像が手軽な価格で手に入ってしまう。
発表直後は否定的な意見が目立つ状態だった。
実写とは言え、『動く』か『止める』かは大きく違うので仕方ないのだろうが、保守的な人々からの想像力に欠けるバッシングが相次いだ。
『コンデジ(コンパクトデジカメ)の動画もイマイチだし、動画はビデオカメラに任せて一眼レフカメラは静止画の機能向上だけ追求すればいい。』
コンデジユーザーが言うなら理解できるが、デジタル一眼の、それもわざわざフルサイズ撮像素子のユーザーや、それを求める人が上記の発言をするのは、想像力に欠けると言われても仕方ないだろう。
そもそも、コンデジはもちろん、APS-Cよりもフルサイズが優れているのは、画素ピッチの余裕からくる高感度ノイズ耐性と、被写界深度の浅さなどのはず。
だから、それらのメリットが動画にも享受されると容易に想像できるのに、コンデジやビデオカメラと同列にしか扱えないなど、お粗末過ぎるだろう。
もちろん、メリットばかりではない。
というよりも、被写界深度が浅いというメリットは、シーンによってはデメリットとなる。
正確なピント合わせが必須となるからだ。
子どもの成長記録などの用途に気軽に使えるようなものではない。
それに、動画中のフォ−カシング方法であるコントラストAFは、お世辞にも早いとは言えず、第一世代AF並かそれ以下の合焦スピードしか出ないので、チャンスを拾うようなシーンにも向かない。
また、CFのファイルフォーマットであるFAT32で1ファイル4GBまでと制限されているので、HD(1920×1080pixcel)で約12分、SD(640×480pixcel)でも24分で一旦撮影が終了してしまう。
他にも、動画撮影時にレンズのフォーカス音が入る、手持ち撮影し辛いなど、全くもって万能ではない動画機能ではあるが、オモシロイ機能である事は間違いない。
僕にとってのMark II
正直、Mark IIの画像サイズを必要とするシーンは限られる。
多くの撮影では5Dの1200万画素クラスのサイズで十分だ。
だが、使い勝手は間違いなく向上しているので、基本的にはMark IIを使う。
メモリーカードに余裕がなくなれば画像サイズを落として撮影できるし(sRAW1)、逆にサイズが必要なシーンでのみフルサイズで撮るなどの選択肢があるのはイイ事だ。
また、ライブビューも意外と使える。
三脚立てて物撮りする際はもちろんの事、普通の手持ち撮影の際もライブビューでフレーミングすると、特に風景などの撮影の際には仕上がりを冷静に想像できるように思える。
まだ使っていない機能がたくさんあるが、費用対効果としては非常に満足している。
また長い間の相棒となるであろう5D Mark IIは、先代の名に恥じない、名機の立派な後継機だと思う。
2009年6月著



プチ放浪 [富良野・美瑛]