Alfa RomeoのSelespeedと
TOYOTA MR-SのSMT比較
アルファのセレスピードも、MR-SのSMTも、どちらもシングルクラッチ・ロボタイズマニュアルトランスミッション。要するに、大元の構造はMTのまま、ギアの入れ替え操作とクラッチ操作をコンピュータと油圧アクチュエーターで行っています。
ドライバーは、ギアを上げる、下げる、リバースに入れる、ニュートラルにする、の命令をフロアにあるスティック、またはハンドルボタンやパドルから伝えるだけで、あとは例えばシフトアップであれば、クラッチを切り、現在のギアから抜き、次のギアに入れ、クラッチを繋ぐ、という一連の動作は勝手にやってくれます。
ただ、メーカーが違えばイロイロと細かい事が異なりますので、そのレポートをココに記します。
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TOYOTA MR-S SMTのシフトパターン
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Alfa Romeo セレスピードのシフトパターン
①シフトパターンが正反対
面白いことに、シフトパターンはニュートラル(N)やリバース(R)位置も含めてキレイに正反対です。
NやRはさておき、+と-の配置については、2012年現在ではMR-S型の引いて+、押して-が主流となっているようですが、2000年頃ではその逆が主流でしたので、MR-Sの方が異端児であったはずです。
しかし、加速して後ろ向きのGを受けている時にし易い操作は『引く』ですし、減速して前向きのGを受けている時にし易い操作は『押す』ですから、理想的なシフトパターンは、やはりMR-S型であり、だからこそMR-S型が現在の主流となっているのでしょう。
これはAlfa Romeo自身の新しい自動制御ミッションであるTCTにおいてはセレの逆にしたということで明かだと思います。
幸い、147や156などのフロアにあるセレスピードコントロールユニットは簡単に反転できるので、僕のGTAも納車前に反転してもらっています。
ゲート型ではないですが、パターンがそっくり正反対ですので、反転することでパターン自体は全く同じなり、13年の慣れを活かせています。
②ゲート型とジョイスティック型
MR-Sは、スティックをR位置、N位置、S(シーケンシャルシフトモード)位置のゲートに入れます。
それぞれのシフト位置によってスティック位置が物理的に違うので、メーターパネル内の表示を目視しなくてもR・N・Sのいずれに入っているのかがわかります。
逆にAlfa Romeoのセレスピードは、スティック位置が常に同じ位置にあります(上記シフトパターン内の●の位置)。
ニュートラルにするにはスティックを右に入れますが、手を離せば定位置に戻ります。 MR-SにおけるS状態にするには、スティックを上に入れます。
いずれの操作をしてもスティックは定位置に戻りますので、メーターパネルの目視しなければ、現在どのモードに入っているのかわかりません(リバース時はブザーが鳴っているのでわかりますが)。
この点においても、メーターパネルを目視することなく、現在いずれのモードに入っているのかがわかるMR-S型の方がイイですね。
③細かい自動動作の差異 #1
MR-SのSMTが自動で動いてくれるのは、しばらくアクセルを踏むことなくその時点選択されているギアの最低速度以下まで落ちた場合にクラッチが切られることと、車速が10km/h以下程度になった場合にクラッチを切ってギアを1速(2速発進した場合は2速)に入れられることのみです。
各ギアに設定されている最低速度以下に落ちてクラッチが切られた状態でも、アクセルを踏めばそのギアのまま無理矢理の半クラッチで動こうとします(アラートブザーは鳴ります)。
先の信号が赤で、しばらくアクセル踏まずにエンジンブレーキで車速が落ちている時に、その信号が青になった場合など、ボーっとしてるとアラートブザー鳴らしながら、クラッチを傷めながら動かざるを得ない状況に陥ってしまいます。
もちろん、その場合はボーっとしているドライバーの方が悪いのですけどね。
その点、Alfa Romeoのセレスピードは、エンジンブレーキで減速して選択されているギアの最低速度を下回ると自動で最適なギアに変えてくれますので、ボーっとしていてもクラッチ板を痛めるような無理矢理な半クラにはなりません。
とは言っても、僕にとってはそれでセレスピードが優れているという感覚にはなりません。
赤信号で停止することが明確にわかっている時でも順番にシフトダウンされるので、少しお節介であると感じてしまいます。
④細かい自動動作の差異 #2
#2はCITYモードについて。
Alfa Romeoのセレスピードには『CITYモード』という自動変速モードがあります。
シフトアップもダウンも全て自動ですので、AT車同様にドライバーはアクセル・ブレーキのみの操作となります。
しかし、これについてはMR-Sに乗っている時から乗り心地について懐疑的でした。
シーケンシャルモードでの変速でも、変速時にアクセルを一瞬抜かなければ、変速動作中ずっとエンジンブレーキが掛かっているような違和感が発生するのに、CITYモードでは自分の意図しないタイミングで変速されるので、間違いなくアクセルを抜く動作を合わせられないので、そのエンブレ違和感が変速の度に発生してしまうのではないか、と。
で、実際に使ってみると予想通りでした。
MR-Sの場合は、片手ハンドルでもシフトアップ・ダウン操作が可能ですが、Alfa Romeoの場合はそれが無理なので、運転中にハンバーガーでも食べるなど、片手を常時空けておきたい状態の時だけは使えそうではあります。
⑤パドルとステアリングボタンの違い
MR-Sはステアリングボタン、セレスピードはパドルシフトです。
見た目については、間違いなくパドルシフトの方がカッコイイと思いますが、利便性では確実にステアリングボタンです。
ステアリング右側が+、左側が−の機能しか持たないパドルシフトに対して、ステアリングボタンはステアリング表側が−、裏側が+で、それが左右側についています。
ということは、ステアリングボタンの場合は、右手でも、左手でも、片手さえステアリングを握っていれば、曲がることはもちろん、シフトアップも、ダウンも可能なのです。
パドルの場合は握りを変えなければ無理ですよね。
よって、ダラーっと運転したい時や、前項で挙げたハンバーガー食べながらの運転時などでステアリングボタンは有用であり、その救済のためのCITYモードのような気がします(^◇^;)