Canon CanoScan8000F

スキャン後のゴミ取りがイヤでイヤで買ったデジタル処理でゴミ取りをしてくれると謳うフラットベッドスキャナ。

これまで複数台のスキャナを使ってきた経験からの条件

これまで僕は、Agfaの400dpiとEPSONの600dpi、1200dpi、1800dpiという購入順(発売順も同様)のスキャナ履歴を辿ってきた。
解像度だけに注目すると、僕の履歴上では1800dpiが一番高画質のように思えるのだが、これが画質順に並べると、実はEPSON600dpi、Agfa400dpi、EPSON1800dpi、1200dpiとなる。
価格順も画質順とほぼ同様。
そこで学んだのは「解像度よりも画質(低ノイズ)が大事」だという事。

これはデジカメの場合も言える事なのだが、解像度がいくら高くても、得られる画像の画質が低いと、結局ピクセル数だけ多い使えない画像にしかならない。
その画質を左右するのは、撮像素子(CCDやCMOSなど)のサイズ(大きさ)と、その撮像素子に光を集束させるレンズである。
それらが良いと画像は低ノイズとなり、スキャン後のノイズの取り除きの為の作業もせずに済む。
ノイズ除去の作業は、後述するホコリ取り作業以上に面倒、と言うより場合によっては除去困難にさえなってしまうので、まず低ノイズである事を重視したいと思った。

スキャン後のホコリ取りが大嫌い

そして、もう一つ学んだ事。
それは「ホコリはうざい」ことだ。

スキャナを設置する環境にもよるだろうが、僕の場合は一月もすれば蓋をしているにも関わらず、原稿台のガラスにホコリが乗ってくる。
また、スキャン原稿もホコリ一つ付いていない事など皆無なので、スキャン時にどうしてもホコリが画像に入り込んでしまい、原稿の明るい部分には黒く、暗い部分には白く写り込んでしまう。
要するに、締まりのない黒と抜けのない白という、せっかくの自信作もダメな作品に成り下がってしまうのだ。

それでは困るということで、レタッチでこれを除去しなければならないのだが、これが一苦労で、僕的にはビットマップ画像に関わる作業の中で最も嫌いな作業の一つだ。
で、それらを考慮しての品物選びとなった。

EPSONかCanonか

挙げた条件のうち、撮像素子のレベルとレンズ性能については、基本的に一般用スキャナでは要求できないと知った。
以前は高性能(高解像度という意味ではない)撮像素子を使った一般用高性能機もあったのだが(それなりに高価)、現状ではプロ用と一般用の棲み分けがハッキリしていて、高性能撮像素子が搭載されるのは高価なプロ用機となっているようだ。
取り敢えず、CMOSは選ばないという事だけを念頭に置く事とした。

次にホコリ対策である。これに関しては、以前からキャノン製スキャナにホコリ除去機能がある事を知っていたので、あっさりとキャノンに決定した。
これまでにEPSON製の使用歴が長かったのと、EPSONスキャナのプレビューが非常に高速だったので、できればEPSONを選びたかったのだが、残念ながらEPSONはホコリ除去機能に注目はしていなかったようだ。
CCDの性能も考慮して、またフィルム(透過原稿)スキャンする事も考慮すると、必然的にCanoScan8000Fの購入となった。

夢のような事はやはりなかったホコリ取り機能

実際に使用しての感想だが、前述した画質順で言うとEPSON600dpiとAgfa400dpiの中間程度だろうか。
ノイズ量はそれほど多くない。
注目のホコリ除去機能だが、一般的な反射原稿のような大きい原稿の場合は、それなりに使えると言えるが、フィルム原稿などのように小さい原稿の場合は、全く使えない。
と言うのも、この機能、明度が明らかに違う場所にホコリがあると考え(実際はもっとホコリと特定する要素をプログラムされているはず)、そのホコリと思われる場所とその周囲を「平均化」してホコリを目立たなくするといった処理がされていると思うのだが、35mmフィルムのような小さい原稿に大きなホコリだと、画像の多くが平均化されたボケた画像となってしまい、作品として成り立たなくなってしまうからだ。

と言うように、フィルムスキャン時には使えない機能ではあるが、全くこのような機能のないスキャナに比べると、やはり便利ではあると思う。

フラットベッドスキャナでの35mmフィルムスキャンの実用性

ついでにフィルムスキャンについて。
このスキャナの解像度は2400dpiもあるのだが、やはり対象が一般的な反射原稿サイズとしているからだろうか、解像度的には問題ないはずなのだが、35mmフィルムのような小さい原稿のスキャンには使えるとは言い難い。
フィルムのスキャンは、やはりフィルムスキャナを使うべきなのだろうと思う。

その他の機能で注目すべき点としては、マルチクロップという機能。
原稿台に三枚の写真を置いてスキャンする際、このマルチクロップ機能を使うと、一度のスキャンで三枚のファイルとして出力してくれるので便利だ。
それぞれに対して露出や色調整を行えるので、とても使える。
また、原稿台の写真が斜めに傾いていても、真っ直ぐに修正して出力される点も、後で回転微調整をせずに済むので非常に楽だ。

不満な点は、これまでに使ってきたEPSON製スキャナと比べて、プレビューの速度が断然遅い事。
また、出力インターフェイスがUSB1.1/2.0しかない事。
MacはUSB2.0を使えない(G5より対応)ので、非常に遅いUSB1.1で繋ぐ事になってしまう。
EPSONのハイエンド機にはIEEE1394(FireWireやiLink、DV端子とも呼ばれる高速シリアルインターフェイス)が用意されているので、Canonにも見習ってほしいところだ。

やはりデジカメが欲しいとつくづく思わされた

色々と述べたが、総括すると購入した事に満足はしている。
しかし、今回のスキャナ選びで思ったのは、やはりページへの利用やA4サイズ程度の印刷用途には、デジタル一眼レフカメラを使用した方が全てにおいて楽ができそうだという事だ。
画像データを、光という要素をデジタル化したものであると考えると、デジカメの場合は光を直接(厳密には光を撮像素子に当てた事によって発生する電流を)デジタル化するので、ロスや障害が極めて少ない手段と言える。
当然スキャニングの際の劣化やロスやホコリの事など気にしなくて済むし、それ以前にスキャンという行為自体を省けるのだから、楽そのものだ。

そう遠くない将来、そういう環境になる事を夢見ながら、取り敢えず現状では、スキャンの手間とホコリ・ノイズ除去の作業の手間を我慢していこう…。

2002年頃著