TOYOTA SERA(セラ)購入動機と納車後の所感

1998年8月から2000年8月までの2年間所有していたE-XY10という型式名を持つ1500ccのTOYOTA車。
僕のSERAは、天井ガラス部に熱反射ガラスコーティングが施された、俗に言う2型。ボディカラーは、2型から追加となったブラック(202)。
SERAは1990.3~1995.12に販売され、約15892台生産されたようだ。平均月産230台ということで、こう言ってはなんだが不人気車。
しかし、手頃な中古価格とガルウィングドアなどの個性派な魅力からか、現在では意外な人気があるらしい。(マニアックではあるが)

もちろん、僕もガルウィングドアと疑似オープンとも言えるグラッシーキャビンに惹かれ、また手頃な中古価格に惹かれた一人だが、ただその特異性に惹かれただけではなく、所有する喜びと誇りを感じられる一台であろうと思い、購入した。
実際、SERAに乗っての信号待ちで、隣にどんな車が停まろうとも、その車に対して「羨ましい」と感じた事はない。
良い車は沢山あるが、SERAもその内の一台であるという自負がそう感じさせたのだろう。
とは言え、隣にカウンタックとデロリアンが並んだ時だけは「・・・」な感じだったかもしれない・・・。


この車の一番の売りであり特徴であるのが、右の写真を見てお分かりのように「ガルウィングドア」だ。
一説によると、グラッシーキャビン(ガラス張りの室内空間)を実現するための副次的なものらしい。
スーパーカーの特権とも言えるであろうこのドアは、他にスーパーカーブーム時の花形ランボルギーニカウンタックや映画「バックトゥザフューチャー」でお馴染みのデロリアンなどが有名だが、他に採用している車は限りなく少ない。
そんなドアが、1500ccの特にスポーツカーでもない新車時200万円程度の価格の車に採用されているのだ。
しかも、僕が購入時の中古価格は40万円。
破格のガルウィングカーなのだ。
このガルウィングドアを開けての乗降は、目立つと言うよりも、側にいる人は確実にビックリするというもの。
稀に、ビックリさせられた事で怒ってブツブツ文句を言う人までいるくらい。
乗り手自体はすぐに慣れてしまうのだが、乗降時の人の反応は常に新鮮だ。
ドアが上に開くことによって、狭い駐車場のドア開閉・乗降も気遣いなくできる。
立駐でもドアがぶつかったりはしない。
車内からのドアの開閉には、ちょっとコツが必要。
助手席に女性を乗せた場合、大概ドアを開けられないので、外から開けてあげなくてはならない。
ジェントルな行為の必然性が生まれるという意味で、僕には大歓迎な必然だった。


左の写真が、グラッシーキャビンと命名された車内イメージ。
明るくて素晴らしいが、夏は地獄。ビニールハウス状態で、車内気温はうなぎのぼりとなり、車内に置きっぱなしのペットボトルは膨張破裂し、CDは歪んでグニャグニャとなる。
熱灼地獄以外は良好で、疑似オープン感覚(後にオープンカーを所有することとなり、その疑似がどれ程疑似なのか思い知る事となるが)で開けた視界は、ドライブを数段楽しくさせてくれる。
また、雨の日のドライブも、まるで水のカプセルの中にいるような感覚になり、それはそれで素敵な経験だ。
ただ、オープンカー同様に車内が丸見えなので、他車に対してのプライバシーは確保できない。


走りは大衆車並。
スターレットのエンジンのストロークを伸ばしただけのエンジンなのだから、期待する方が間違いだろう。
グラッシーキャビンを実現した為に車体剛性も低いようで、全体的に緩さを感じた。
代わりに燃費はイイ。
僕の最高燃費は15.6km/Lだった。(AT)
後期型(92.6~)と呼ばれる3・4型にならまた乗ってみたいと思っているが、生存数が少ない上に、登録後10年を境に激減していくであろう現状で、その望みは薄いだろう。
僕はSERAを評するに「『いろいろあったけど、とても愛していたんだよなぁ』と、時を経ても思い出す昔の恋人」としている。
かなりの個性派だし、いろいろ問題もあるけど、実は家庭的な彼女なんだ。
そういう意味で、この車に乗っている当時は、次に乗りたいと感じる車が見出せなくて困った。
なにせ、これを超える魅力を持つ車の要素さえ見出せなかったくらいだ。
実際、SERAほどの個性と特異性を超える車など、新車時の同価格帯まで範囲を広げても無くて当たり前だ。
「次の車はカウンタックだ」と言えるような途方もない金持ちではないのだし。
まぁ、それが見つかるまで乗り続けることが出来るわけで、それはそれで経済的でイイと思っていたのだが、運命の出逢いは意外と早く訪れてきたのだった。